須田幸太の直球勝負が冴えわたっている。
4/19の広島戦では同点の10回表に登板して、打者3人から2三振を奪った。投じた14球がすべてストレートであり、高めで空振りさせ低めで見逃しを奪う、圧巻の投球内容であった。

ここまでの成績もリーグトップに迫る。

登板 :10 (5位タイ、1位11)
投球回:10(9位タイ、1位12 1/3)
奪三振:11(5位タイ、1位12)
防御率:2.70
WHIP :1.50
1勝1敗2ホールド

※4/19試合終了時点、順位はセ・リーグ救援投手対象

チームが勝てていないため目立たないが、役割を十分にこなしているし内容も見るべきものがある。WHIPが示す通り走者を多く許しているのは欠点だが、奪三振は多く好調さがうかがえる。
このように須田の一番の球種は圧倒的にストレートである。最速146km/hと決して速くはないにもかかわらずだ。実際150km/hを超える投手達にも負けないくらいストレートで三振を取っている。

下の図のように、昨年の投球回30回以上のセ・リーグ救援投手のストレートでの奪三振率を求めると、意外な面々が上位を占める。なお、一般の奪三振率の分母は9イニングだが、今回は被打数+与四死球を用いた。奪三振率9.00でも走者を多く出していては評価できない。

2015セ・リーグ救援投手ストレート奪三振率の表

岡田(中)、高木京(巨)の左腕2名が「石直球」の呉(神)を上回るストレート奪三振率を記録している。また、豪速球を持っていても直球で仕留めるのは半数に満たない投手が多数派であり、その代表のヒース(広)がようやく4位に入っている。
裏を返すとウィニングショットを欠く投手が上位に来ているとも言えるが、いずれも質のよいストレートの持ち主であることは間違いない。

ストレート奪三振率とストレート見逃し率をプロットすると、その質の違いがうかがえる。

2015直球傾向


見逃し率の低い松田(神)はまさしく暴れ馬だ。披打率が3割を超えてしまっているため、これをどう下げていくかが課題だろう。
やや左よりに位置する呉やヒースらはパワー型である。球威で抑えられるから、ぎりぎりは敢えて狙わない。
中央の岡田や高木京は球威と制球どちらも優れているからこそのトップと言えよう。戸根(巨)も合わせて、左腕での140km/h台中盤は、数字の印象以上の威力がありそうだ。
松田の対極に位置するのが、安藤(神)と須田(De)である。打者の手が出ないコーナーに投げ込む。また球場や相手打者によっては高め勝負も挑む。空振りがとれる剛速球が注目されがちだが、見逃しを奪うストレートも十分魅力的だ。

とにかく、須田のストレート勝負は観ていて気分がいい。動かないミットに吸い込まれていく軌道と、三振でイニングを締めてマウンドを降りてくる得意げな表情を見逃してはならない。須田のストレートを見逃していいのはバッターだけだ。
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