注(2017/12/29 追記):
新たな資料の発見で、本記事の内容は否定されている。詳細は、
ナゴヤドームと中日ドラゴンズの微妙な一体経営(4) 阪神より横浜に近い一体度
を見ていただきたい。
前回記事のコメントを基に調査と検討を加えた結果、(株)ナゴヤドームの資本構成がおぼろげながら見えてきた。どうやら、中日新聞社の持分は5%にも満たないようだ。
(株)ナゴヤドーム
株主:
三重テレビ放送(3.9?~5.4%) ※筆頭株主
中部日本放送(5.6%?) ※テレビとラジオに持分を分割?
東海テレビ放送(3.9%)
東海ラジオ放送(1.9%)
中日新聞社(取締役派遣、<3.9%?)
中部電力(取締役派遣)
その他、株主の可能性があるもの: ※(株)ナゴヤ球場設立(1975)時の出資者
三菱東京UFJ銀行
東邦ガス
名古屋鉄道
大丸松坂屋百貨店
トヨタ自動車
三重テレビ放送の2016年3月期貸借対照表によれば、投資有価証券が514,080,817円、この中にナゴヤドーム株が含まれていることになる。しかし、そうすると、中部日本放送の持分5.4億円を下回り、矛盾を生ずる。
ヒントは東海テレビ放送と東海ラジオ放送の有価証券報告書にあった。三重テレビ放送がナゴヤドームの株主なら、当然他の放送各社も調べる必要がある。結果、東海テレビ放送が3.6億円(2007年3月期)、東海ラジオ放送が1.8億円(2007年3月期)の株を保有していたことがわかった。両者を足すと5.4億円と中部日本放送の持分と一致するのは偶然だろうか。さらに、中部日本放送の株保有が最後に記載された2013年3月期決算の直後、4月にCBCラジオが分社化されたことは何か関係しないだろうか。
あくまで推測だが、東海テレビ・東海ラジオと横並びになるように株の名義を分けたのではなかろうか。こうすれば先ほどの矛盾は解消できる。そして、横並びということなら、三重テレビの持分も他のテレビ局と大差ないのが自然だろう。
なお、中日新聞社の資本が入っているテレビ愛知の有価証券報告書に保有の記載はなかった。ドーム開業当初放映権がなかったことも関係しているのだろうか。
以上、中日新聞社の持分はわずか3.9%未満という驚愕の結論が導き出された。ちなみに、(株)横浜スタジアムを子会社化する前の(株)横浜DeNAベイスターズのハマスタ株持分は5.74%であった。(株)ナゴヤドームというのは、リーダーと呼べるほどの企業は不在の、非常に横並びの資本構成をしている。
そんな中で中日新聞グループが圧倒的な主導権を握っているのは、ドラゴンズのブランド力をフル活用した結果といえるだろう。裏を返せば、自己資金に乏しかった中日新聞グループが巨額の建設費を調達するためには、ドラゴンズを使うしかなかった。放映権を餌に放送局を巻き込み、オール名古屋で大阪に負けないものをと体面を重んずる名古屋財界を焚きつけた。あるいは、中日さんが無理なら代りにウチがやりますよと名乗りを上げる企業もなかった。これらは推測に過ぎないが、的外れでもなかろう。
結局、経営一体化とは株よりも人なのかもしれないが、3.9%未満ではさすがに他の株主を無視できないのではと感じる。続きを読む