2018年9月24日、広島東洋カープの優勝マジック1で迎えた広島-DeNA戦のさなかに、それは始まった。


このツイートが多くの人の怒りを買ったのは言うまでもない。まさに直後から、逆手にとって横浜を応援する文脈でベイスターズファンが使い出し、事実上このハッシュタグを占拠する形となった。もちろん、このフェアプレイ精神のかけらもないハッシュタグを使う広島ファンを嫌悪するツイートも多かった。

ところが、最初のツイートをしたのは、憎らしい広島ファンになりすましたアカウントである。ファン同士の対立をあおる「釣り」ではないかと返信などで指摘する者も多かったが、約80の返信に一切応答しておらず真意は不明である。

このように、この騒動は終始一貫して広島ファンの存在が希薄なまま進行した。

最初のツイートにいいね!とリツイートをしたアカウントの応援する球団を調査したものを示す。全数は調べられなかったが、いずれも半数超のデータを集めた。
空気読め1リツイートやいいね!をした、半数を超えるベイスターズファンの動機は、共感ではなく怒りであろう。それにしても、広島ファンが少ない。他球団ファンが目の敵にしている、対戦相手への敬意を欠くファンがもし無視できない規模で存在するならば、これは不自然ではないだろうか?

そもそも、実際に #横浜空気読め を使って、横浜に負けてほしいというツイートはどれほどあったのだろうか? 9月24日の #横浜空気読め が含まれる全314ツイート(リツイートは除く)のうち、わずか13に過ぎない。

そのうち、報復死球しろといったものが2つある。一つはもちろん最初のツイートで、もう一つも広島ファンではない。

残り11本は、絵文字を交えるなどして茶化したつもりらしい。こちらは広島ファン以外に、ロッテ、阪神、横浜、西武、ヤクルトファンがいる。冗談のつもりなら許されるかという問題はあるが今回はふれない。

結局、#横浜空気読め というハッシュタグで横浜を呪った広島ファンは皆無であった。広島ファンのツイッター利用者は、このタグを見事なまでに無視した。いいね!を押して同類と誤解されたくなかったし、リツイートして広島ファンの恥を広めたくもなかった。

いっぽうで、横浜ファンはこのタグを広島ファンからの攻撃と誤解し、盛大に反撃した。広島ファンの蔑称を使って罵った者も当然いた。子供の口げんかと大差ない。

この騒動で、確かに最初のツイートは不快だが、私はそれ以上に、その後の経過に気味悪さを感じる。

最初のツイートがなりすましによる釣りであることは、過去のツイートを見ればすぐにわかることであるし、リアルタイムで多くの人が指摘もしている。にもかかわらず多くの人が釣られてしまった。確かに #横浜空気読め というハッシュタグは、たった6文字で無礼な広島ファンを彷彿とさせる、ある意味センスが光るものだ。しかし、「無礼な広島ファンを叩きたい」という潜在的需要がもともとあったからこそ拡散したのではないか。

そういう素地がある人にとって、発端がなりすましかどうかなど調べるまでもない。こんなタグを作るのは広島ファンに違いないから、後は叩くのみである。そんなアンチ広島ファン同士の自作自演を横で見ている他の人にも、無礼な広島ファンという印象が広まっていく。

こんな仮説が思い浮かぶのだが、考え過ぎだろうか。

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