まず、新たな資料に以前の結論と合わないところが出てきたため、訂正をしたい。
今回入手したのは、日本経済新聞社の手によるデータである。1990年から2003年と2012年、2013年の12月の(株)ナゴヤドームの主要株主の記載があった。2000年から2003年は筆頭株主しか記載がないなど、連続したデータは入手できていないが、ナゴヤドームの着工前から直近まで、主要株主の顔ぶれや保有比率はほぼ変わっていないようである。
株数 比率
中日新聞社 2,250,000 11.8%
トヨタ自動車 1,800,000 9.4%
中部日本ビルディング 1,320,000 6.9%
中日ドラゴンズ 1,200,000 6.3%
名古屋鉄道 1,200,000 6.3%
中部日本放送 1,080,000 5.6%
東海テレビ放送 1,080,000 5.6%
中日グループ3社計 4,770,000 24.9%
発行済み 19,140,000 100.0%
※2013年12月時点、日経会社プロフィルを基に加筆
残念なことに前回までの記事と食い違う点が多い。このデータは三重テレビ放送が筆頭株主という話とは両立しない。以前の記事で説明した通り、三重テレビの投資目的有価証券保有額が、5億円ほどしかないので、2013年12月以降に主要株主すべてが保有を減らさない限り不可能だが、現実的でない。
なので、せっかく調べていただいたししゃも様には申し訳ないが、前々回の結論の三重テレビ筆頭株主説は撤回する。
しかしながら、日本経済新聞の調査も、東海テレビと東海ラジオの保有分に関して疑問が残る。資料に記載のある年のすべてで、東海テレビの保有比率は変化がないが、そうすると、有価証券報告書の記載によれば、2007年から2008年に一時的に株をよそへ預けたことになり、やや不自然である。
すっきりしないが、ひとまず日経の調査を大枠として受け入れて話を進める。
主要株主のうち、中日ドラゴンズと中部日本ビルディングは中日新聞社の100%子会社である。3社の持分を合計すると24.9%となり、他の株主からは頭ひとつ抜ける。放送各社など関連会社も含めれば、より大きな影響力はあるだろう。
とはいっても、株に絞った話でいえば、ドラゴンズとナゴヤドームの一体度はベイスターズと横浜スタジアムのそれより薄い。ベイスターズはハマスタ株の約3/4を保有している。
つまり、ドラゴンズとナゴヤドームは、横浜以上の制約を受ける。以前「巷でいうほどハマスタ買収は儲からない」で指摘したように、(株)ナゴヤドームも、中日グループ外の株主を無視した経営はできないし、利益を自由に付け替えることもできない。さらに株主はトヨタ自動車など大物揃いである。
だいぶ遠回りになってしまったが、中日ドラゴンズとナゴヤドームの一体経営は、阪神やオリックスのようなグループ内完結でなく、むしろ横浜に近い制約のある形であることをご理解いただきたい。続きを読む
今回入手したのは、日本経済新聞社の手によるデータである。1990年から2003年と2012年、2013年の12月の(株)ナゴヤドームの主要株主の記載があった。2000年から2003年は筆頭株主しか記載がないなど、連続したデータは入手できていないが、ナゴヤドームの着工前から直近まで、主要株主の顔ぶれや保有比率はほぼ変わっていないようである。
株数 比率
中日新聞社 2,250,000 11.8%
トヨタ自動車 1,800,000 9.4%
中部日本ビルディング 1,320,000 6.9%
中日ドラゴンズ 1,200,000 6.3%
名古屋鉄道 1,200,000 6.3%
中部日本放送 1,080,000 5.6%
東海テレビ放送 1,080,000 5.6%
中日グループ3社計 4,770,000 24.9%
発行済み 19,140,000 100.0%
※2013年12月時点、日経会社プロフィルを基に加筆
残念なことに前回までの記事と食い違う点が多い。このデータは三重テレビ放送が筆頭株主という話とは両立しない。以前の記事で説明した通り、三重テレビの投資目的有価証券保有額が、5億円ほどしかないので、2013年12月以降に主要株主すべてが保有を減らさない限り不可能だが、現実的でない。
なので、せっかく調べていただいたししゃも様には申し訳ないが、前々回の結論の三重テレビ筆頭株主説は撤回する。
しかしながら、日本経済新聞の調査も、東海テレビと東海ラジオの保有分に関して疑問が残る。資料に記載のある年のすべてで、東海テレビの保有比率は変化がないが、そうすると、有価証券報告書の記載によれば、2007年から2008年に一時的に株をよそへ預けたことになり、やや不自然である。
すっきりしないが、ひとまず日経の調査を大枠として受け入れて話を進める。
主要株主のうち、中日ドラゴンズと中部日本ビルディングは中日新聞社の100%子会社である。3社の持分を合計すると24.9%となり、他の株主からは頭ひとつ抜ける。放送各社など関連会社も含めれば、より大きな影響力はあるだろう。
とはいっても、株に絞った話でいえば、ドラゴンズとナゴヤドームの一体度はベイスターズと横浜スタジアムのそれより薄い。ベイスターズはハマスタ株の約3/4を保有している。
つまり、ドラゴンズとナゴヤドームは、横浜以上の制約を受ける。以前「巷でいうほどハマスタ買収は儲からない」で指摘したように、(株)ナゴヤドームも、中日グループ外の株主を無視した経営はできないし、利益を自由に付け替えることもできない。さらに株主はトヨタ自動車など大物揃いである。
だいぶ遠回りになってしまったが、中日ドラゴンズとナゴヤドームの一体経営は、阪神やオリックスのようなグループ内完結でなく、むしろ横浜に近い制約のある形であることをご理解いただきたい。続きを読む