すき間ベイスターズ

他の人が拾わないすき間ネタを求めていった結果、経済系プロ野球ブログの色が濃くなっています。 スポーツナビ+から引っ越して来ました。

2015/06

この年は数名で約6万3千票をおもにヤクルトに投票したことを自らSNSで発信する者が現れ、激しく非難された。

2013年オールスターファン投票各球団最低得票ポジション
球団 部門 選手名 得票数(得票率) 平均観客動員(全体比)
S  外野 武内晋一 149120(8.4%) 19899( 6.5%)
C  捕手 石原慶幸 85215(4.8%) 21744( 7.1%)
G  先発 菅野智之 81904(4.6%) 41781(13.6%)
T  抑え 久保康友 74568(4.2%) 38494(12.6%)
D  中継 田島慎二 56209(3.2%) 27753( 9.1%)
DB 先発 三浦大輔 51679(2.9%) 19802( 6.5%)

F  先発 吉川光夫 104802(5.9%) 25773( 8.4%)
L  DH ランク外 75187(4.2%)未満 22234( 7.3%)
E  一塁 ランク外 74920(4.2%)未満 17793( 5.8%)
H  捕手 細川亨 69848(3.9%) 33458(10.9%)
Bs 先発 金子千尋 65504(3.7%) 19979( 6.5%)
M  先発 成瀬善久 44149(2.5%) 17506( 5.7%)
      計    933105(52.4%)

有効枚数合計 1,779,327
インターネット 159,046
携帯電話   198,261
投票用紙   1,422,020

2013年オールスターファン投票抜粋
セ・リーグ三塁手
1 宮本慎也 S 218,719
2 堂林翔太 C 160,759

6万3千票が誇大でないことは最低得票からも伺える。三塁手部門の当落を変えてしまったのは確実である。それでも、ほとんどの部門では当落に影響しなかった。宮本選手とて、その得票抜きでも接戦を演じられるくらいの元々の人気がある選手であるからこその当選である。まっとうなファンがいる限り、ファン投票が一部の不心得者に乗っ取られることはない。

とはいえ彼らが突き付けた制度の欠陥はファン投票開始時から放置されてきたものであり、いよいよファン離れが進んだ結果表面化したととらえるべきかも知れない。


<参考> 2015年横浜スタジアム投票風景

横浜スタジアムの2015年投票風景
2015年横浜スタジアム試合開始前。各入口付近に設置。係員が張り付いてはいない。特に込み合うほどではない。ほとんどの人は気づいていないのか、投票に関心がない様子だった。

投票用紙の入った箱 hspace=
投票場所の机の下に2箱あった。投票したい人が自分で用紙を取り出す。

2015年オールスターファン投票用紙
投票用紙。ミシン目でマークシートだけ外れる。厚さは8枚重ねて測ったら約1.1ミリあった。続きを読む
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この年から携帯電話からの投票の会員登録がPCなみに厳密になった。特に前年の投票結果で騒ぎがあったわけではないため変更の理由は不明だが、ちょうどスマートフォンが普及し始めた頃である。スマートフォンから自作ソフトで大量投票されることを見越して早めに対処したのではないか。

球団本拠地での開催地が前年の3ヶ所から1ヶ所に減ったためなのか、その他の理由か不明だが、投票枚数全体は減少した。インターネットと携帯電話の投票枚数は減少が著しいが、投票用紙ではやや増えた。携帯電話の減少が激しいのは登録厳格化の影響もあるだろう。投票期間は2012年の方が長いが、その効果は投票用紙の増加に伺われる。

        2011 2012   前年比  
有効枚数合計  2,055,420 1,955,162
インターネット 211,181 148,932 71%
携帯電話    375,022 129,730 35%
投票用紙    1,469,217 1,676,500 114%
投票期間    6/8~22,26 5/22~6/17 186%
開催地     名古屋   大阪
        千葉    松山
        仙台    盛岡

投票数が減ると、当然「組織票」の影響が出やすくなる。この年は2つの「組織票」疑惑が話題となった。

2012年オールスターファン投票球団別最低得票ポジション
球団 部門 選手名    得票数(得票率)   平均観客動員(全体比)
G  二塁 寺内崇幸   100034(5.1%)   40333(13.6%)
C  抑え D.サファテ 95363(4.9%)   22079( 7.4%)
DB 捕手 ランク外   95220(4.9%)未満 16194( 5.5%)
D  先発 山本昌    92692(4.7%)   28896( 9.7%)
S  先発 石川雅規   85020(4.3%)   18371( 6.2%)
T  先発 能見篤史   74068(3.8%)   37886(12.8%)

F  先発 斎藤佑樹   146735(7.5%)   25813( 8.7%)
H  捕手 細川亨    113128(5.8%)   33993(11.5%)
M  先発 藤岡貴裕   98674(5.0%)   17211( 5.8%)
E  二塁 内村賢介   63540(3.2%)   16358( 5.5%)
L  先発 岸孝之    54073(2.8%)   21195( 7.1%)
Bs 先発 西勇輝    44761(2.3%)   18482( 6.2%)

※平均観客動員は2012年通年の1試合平均

日本ハムの8部門選出が話題となっただけに、最低得票はリーグ2位のソフトバンクに3万3千票差をつけている。仮に日本ハム選手の票だけが単純に3万3千票減ると、4部門で他球団の選手にその座を明け渡すことになる。投票期間中にパ・リーグ各球団は12試合を主催しており、例えるなら、1試合あたり2750人、札幌のファンの投票が多いがために4人が当選できたことになる。

この年は特定のマネジメント事務所と契約している選手の票の増え方が不自然だとする週刊誌記事でも話題になった。ロッテの井口資仁、清田育宏、阪神の鳥谷敬、平野恵一、ソフトバンクの明石健志が該当する。最終結果での票の伸びを疑われているので、増分と最終結果をまとめた。

ファン投票結果抜粋
部門  順位 選手名  球団 得票  増分
セ二塁 1  平野恵一 T  280862 184835
セ二塁 2  荒木雅博 D  212356 109267

セ遊撃 1  鳥谷敬  T  293825 194602
セ遊撃 2  坂本勇人 G  265716 142837

パ二塁 1  井口資仁 M  294873 212094
パ二塁 2  田中賢介 F  291210 128305

パ遊撃 1  中島裕之 L  294405 155873
パ遊撃 3  明石健志 H  161043 101051

パ外野 3  陽岱鋼  F  263602 114595
パ外野 6  清田育宏 M  195664 144342以上

パ先発 2  攝津正  H  114026 58862

仮想事務所票
明石増分-攝津増分=42189

井口票   140863 =ロッテ票+仮想事務所票
日本ハム票 146735

鳥谷票   116257 =阪神票+仮想事務所票
巨人票   100034

該当選手での増加が最小である明石でも10万もあると早合点してはいけない。ホークスで一番票が伸びなかった攝津の票を差し引いたものが、最大限に見積もった仮想事務所票である。
4万2千票は小さい数字ではないが、明石、清田は当選には遠く、平野は関係なく当選だった。
井口と鳥谷の場合、確かに当落を分けうる票数である。しかしいずれも日本ハムと巨人という票の底上げの強い球団の選手と競っていて、「組織票」の差としては、井口はまだ6千票不利であり影響なし、鳥谷も1万6千票有利になっただけで、坂本との票差を下回る。
結局いずれの選手の当落も、非「組織票」で決まったのである。

今回の2つの事例の検証で、5万に満たない票で結果が大きく左右されうることがわかった。日本ハム票は4選手を当選に押し上げたのかもしれないし、事務所票で2選手が逆転選出されたのかも知れない。しかし、実際に何があったのかは不明である。

翌年、数万票程度なら数名の努力で可能なことが実証される。次回は2013年を取り上げる。続きを読む
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この年より投票方式は公式投票用紙がハガキでなくなり、球場などに置かれた投票箱に入れる方式のみとなり、インターネットと携帯電話からの投票が1日5回までから1日1回までに変更された。

開催地は京セラドームと横浜にも関わらず、この年「組織票」が疑われたのは、冠スポンサー初年度のマツダのおひざ元、広島東洋カープの面々だった。先発で高橋建、二塁手で東出輝裕、外野手で前田智徳が選出されたが、代打専門の前田と、広島でもエースとは言えない高橋建の選出が意外と受け止められた。

2008年オールスターファン投票球団別最低得票ポジション

球団 部門 選手名   得票(得票率)   観客動員
D  中継 ランク外  137346(5.4%)未満 33202(11.3%)
G  一塁 李承燁   110561(4.3%)   40436(13.7%)
S  先発 石川雅規  109781(4.3%)   18517( 6.3%)
C  三塁 S.シーボル 107383(4.2%)   15681( 5.3%)
T  三塁 ランク外  107383(4.2%)未満 43669(14.8%)
YB 先発 三浦大輔  105080(4.1%)   17111( 5.8%)

F  遊撃 金子誠   120968(4.7%)   25459( 8.7%)
E  抑え 青山浩二  120419(4.7%)   15519( 5.3%)
H  二塁 仲澤忠厚  77991(3.0%)   32044(10.9%)
L  先発 涌井秀章  77297(3.0%)   15187( 5.2%)
Bs 先発 近藤一樹  52787(2.1%)   15794( 5.4%)
M  先発 ランク外  36810(1.4%)未満 21645( 7.4%)

有効枚数計 2,561,178
ネット  165,052
携帯   406,219
用紙   1,989,907

相関係数パ   0.06
相関係数セ   0.26
相関係数NPB 0.28

※観客動員数は当年の1試合平均

2008年オールスターファン投票結果抜粋

セ 先発投手
1 高橋建   C 168136
2 C.ルイス C 153390
3 川上憲伸  D 140081
4 岩田稔   T 133797
5 内海哲也  G 131511

セ 外野手
1 青木宣親  S 343453
2 前田智徳  C 317170
3 金本知憲  T 291903
4 赤星憲広  T 281722

見ての通り広島の最低得票は他球団と大差ない。
確かに高橋建という選択は他球団ファンからするとやや通好みに感じるが、選出時で6勝4敗、防御率3.03のベテランの意外な活躍ぶりは価値があり、エースのルイスは監督推薦が見込めるから建さんはファンの力で送り込もうという広島ファンの作戦勝ちである。
ましてや前田智徳は外野手部門4位の赤星憲広とは3万票以上の差があり、「組織票」だけでこの差を説明するのは無理がある。

最低得票は「組織票」の最大値を見積もっているため、厳密にいえば各球団の「組織票」数の序列や差を示せるものではない。とはいえ、観客動員でそもそも広島より倍以上多い阪神の「組織票」が、この表の数値からさらに3万以上減る可能性は少ないだろう。

最低得票と観客動員との相関は弱い。一方でネットと携帯電話投票の比率が高い今年の中間発表での集計では強い相関がある。投票用紙は球場、一部書店、一部コンビニチェーン店で配布されるのだから、むしろ投票用紙の方が強い相関を示してもいいはずだ。今回の分析では投票期間中の観客動員を使っていないためやや精度が落ちるが、それだけで説明はつきそうにない。各球場での配布方法や回収率に差があるという話も聞くので、そのあたりを調べていく必要がありそうだ。

次回は2012年を取り上げる。続きを読む
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この年は球団創設以来初のオールスター戦地元開催で楽天と地元が動いた。
「地元の官公庁、郵便局や商工会議所が初めて投票用紙を置いてくれたりした」(米田純球団代表)ところ、8部門で選出。一方で楽天グループ各社には「常識の範囲内」で投票を呼びかけたに過ぎず、関与は否定した。

2007年オールスターファン投票各球団の最低得票部門
球団 部門 選手名  得票数(得票率)   観客動員
C  外野 ランク外 195419( 4.2%)未満 15681( 5.3%)
D  外野 ランク外 195419( 4.2%)未満 33202(11.3%)
YB 先発 寺原 隼人 179018( 3.8%) 17111( 5.8%)
G  二塁 ランク外 148174( 3.2%)未満 40436(13.7%)
T  先発 下柳 剛  121163( 2.6%) 43669(14.8%)
S  先発 石井 一久 104320( 2.2%) 18517( 6.3%)

E  一塁 K.ウィット 482684(10.4%) 15519( 5.3%)
H  中継 藤岡 好明 187729( 4.0%) 32044(10.9%)
F  三塁 ランク外 133076( 2.9%)未満 25459( 8.7%)
M  先発 渡辺 俊介 117186( 2.5%) 21645( 7.4%)
Bs 先発 平野 佳寿 111588( 2.4%) 15794( 5.4%)
L  DH J.リーファー 105907( 2.3%) 15187( 5.2%)

新興球団でほどほどにやるノウハウがなかったのか、仙台市民が几帳面だったのか、楽天選手は48万強とソフトバンクより約30万多い底上げを受ける結果となった。ちなみに惜しくも2位に終わったケビン・ウィットの2007年成績は40試合、打率.174、6本塁打である。

この件でコミッショナー事務局の東出康博企画部長は「恣意(しい)的な投票はなかったと思う。(フルスタ宮城での)応募はがきの回収率も良かったし、地元の熱意だと受け止めている」ということで、NPBからのおとがめはなかった。

NPBは川崎祭では架空名義や自動投票ソフトなどネットによる不正投票を認めているが、投票用紙での「組織票」は不正ではないという姿勢を貫いている。これは確かに一理ある。仙台市民が多数ファン投票に参加すること自体は制度上認められている。投票用紙では無記名である。以前から多くの球団や親会社がやっていることであり、たまたまあからさまになった楽天だけを問題にするのもおかしい。

とはいえ、NPBとてファンの離反を招くのは本意ではなかったのだろう。翌年は投票方式に変更が加えられた。次回はその2008年を取り上げる。続きを読む
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